今日は久しぶりに映画の紹介でも。

今回紹介する作品はリヴァプールの生ける伝説であり、人類のキャプテンことスティーヴン・ジェラードのドキュメンタリー映画、『Make Us Dream』です。

僕は小中学生の頃、前線にボールが運べないというチーム事情もあって、ボランチやCMFをやっていました。

その時に憧れていた選手が、ランパードやジェラードでした。2000年代中盤に、イングランド代表の中盤を担っていた2人ですね。2人が所属する、チェルシーとリヴァプールのユニフォームも買ったものです。大学時代まで、汗の臭いが取れなくなっても着続けていましたね。(笑)

ジェラードは小学生時代の卒業文集に好きな選手5人を載せていたのですが、3位に入れていた気がします。確か1位メッシの2位ロナウジーニョで、3位がジェラード。懐かしい。

本作は、ジェラードがサッカーを始めてから引退するまでを、ギュッと1時間半にまとめています。

小さい頃はただサッカーが大好きという、誰しもが通る単純な理由で始めましたが、恐ろしいスピードで成長していきます。

それは間違いなくジェラードの謙虚で熱い向上心があったからで、その精神を植え付けたのは紛れもなく家族の影響でしょう。小さい頃に家族が子どもに与える影響は計り知れません。僕は「蛙の子は蛙」という言葉を8割がた正しいと思っています。

幼少期に正しく成長できる人のパーソナリティを形成できた事もあり、他人よりも早くトップチームにまで登り詰めます。

ただ、トップチームに入ることは映画でも本人が言うように、

そこがゴールだと思っていた

だけど本当はそこが始まりだったんだ

ジェラード

トップチームで瞬く間に頭角を現し、20代前半でキャプテンを任されるようになったジェラード。

その時から、周囲からのあまりにも大きすぎるプレッシャーに苦しみ始めます。

チームはトップ集団に入るものの、資金力が他のチェルシーや2つのマンチェスターに比べて乏しく、順位の浮き沈みが激しい。

ジェラードも自分の能力とチームの成績が見合わないことで、他のビッグクラブへの移籍を悩むなど、様々な葛藤が描かれています。

印象的なのは、この作品で出てくるジェラードの表情がいつもどことなく物悲しげな表情をしています。特にキャプテンになってからは、熱さと同時に何かに怯えているように僕には思えました。実際に、いつもプレッシャーと戦って、息が休まることはなかったと言っています。

それがピークに達したのが、クラブ史上初のプレミアリーグ優勝目前でのミス。

ジェラードの奥さんは、「もう無理だろう 壊れる 的中した」と言っていました。

映画では細かい描写はしていませんが、この奥さんの言葉だけで裏でジェラードは計り知れない苦しみと戦っていたのでしょう。鬱の手前まで行っていたのかもしれません。そこはわかりませんが、精神科にも行ったと本人も言っていたので。

世界ナンバーワンMFにまで登り詰めたイニエスタでさえ、プレッシャーに負けることがあったくらいなので、トッププレイヤーの重圧は計り知れません。

イニエスタが告白した「うつ」。強靭な肉体も精神も、発症を防げない

僕の大好きなバッジョも、94年のワールドカップ決勝のPKの失敗の夢を、4年間毎日見続けていたそうです。

よくよく見たら、この映画PG15+でした。(笑)

確かに、子どもが憧れる表面のジェラードではなく、辛く重たい裏の現実を映し出しているこの映画は、子どもにとってはかなり重い。

ただ最後に救いがあって、

自分でも不思議だ

なぜあの重圧に戻りたいのか

荒波にもまれたいのか

僕の旅はまだ終わっていない

楽しみだ

ということを、最後ユースのコーチとしてリヴァプールに復帰したジェラードが言っています。

重圧に自分自身を壊されそうになりながら、それでもそれを強さに変えて成長を続け、プレイヤーとして走り切ったジェラード。確かに優勝という目標には届かなかったけど、地元の人だけでなく僕のような海外のガキんちょの憧れとして、常にヒーローでいてくれました。

背負っていた重圧は、離れてから自分の一部となっていた事に気付いて懐かしみ、またその重圧に戻りたいと願う。

それはその大き過ぎて、普通の人には体験することはもちろん、絶える事も不可能なものであったからこそ、ジェラードにとってより強力な麻薬となって新しい目標に彼を向かわせているのかもしれない。

監督としてリヴァプールを率いて、リーグ優勝する姿をいつの日か見れることを僕は楽しみにして。

評価:★★★★★

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まつを

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