自主性を高める方法って何でしょう?
僕は今の仕事柄、自主性を高める方法を考えることが多いので、今日は考えたことを書き残しておきたいと思います。
通常、高校や塾などの学ぶ場は、「○○大学に行きたい」「公務員になりたい」などといった目標を持つ生徒が、その目標達成のためのツールとして利用するのが一般的です。
その場合、目標があり、なおかつ目標達成に向けて「自主的に」塾に通っている時点で、既に高い自主性を持っていることになります。
そういう生徒は得点の波があれど、勝手に成長していくことでしょう。
逆に、伸びない生徒とはどうでしょう?
例えば、保護者や先生に「大学に行くために塾に通いなさい」と言われてしぶしぶ通っていたり、あるいは仲の良い友人が通っていたりするからというように、先に挙げた生徒たちのような目標、つまり内発的動機付けがありません。
そういった生徒は、目標が定まっていないために、通常であれば「○○大学に行く」ために塾で勉強をするというツールを使いこなせません。
それゆえ成績も伸びないだけでなく、時間とお金の両方を無駄にします。
そのような生徒へのアクションプランは、塾を辞めることだけです。
僕が勤めているような町営塾は、塾という場を気に入っていて通ってくれている生徒が多いです。
これは恐らく、他の地域も似たような動機なのではないでしょうか。
目標は生徒によって大小様々ですが、「○○大学に行く」というような大きな目標を持っている生徒は少ないです。もちろん、目標は生徒によって異なりますし、何を目指すのかは自由です。
ですが、自身の目標が達成するにあたりそれほど難しいものではないため、生徒によっては塾に行くことがツールではなく、目的化しているように思います。
都会と田舎の大きな違いは、目標とするに当たっては難しい人・もの・環境が近くに、大量に溢れているかどうかが一つです。
もちろん、SNSの発展によって、影響力のある人を身近に感じることができるようになりましたが、それでもリアルに感じることはできません。
そのため田舎の生徒たちは、どこか遠い世界の話として無意識のうちに区別してしまい、目指そうなど思う人は滅多にいません。
とはいえ中には区別せずにそういう高みを目指す生徒がおり、そのような生徒は自然と同じ場所に集まります。それが地方の進学校を形成します。
では、田舎の進学校ではない学校はどのような生徒がいるのか?
ザックリ説明すると、何の変哲もないフツーの毎日を過ごしています。学校に通い、宿題をし、イベントがあれば頑張る生徒もいれば外から眺める生徒もいる。
ただ目標がないため、「専門的な技術を身に付けて就職しやすくするために、とりあえず専門学校行くか」とか、「お金があるわけでもないからとりあえず就職するか」といった決定を下しがちです。
そしてこれも、自分で決めるのではなく、「担任の先生や保護者が勧めるから」「先輩がその道に進んだから」「なんとなく」といった理由で決めています。
大抵そういう生徒は、「いや、最後は自分で決めたし!」と言いますが、そりゃそうだ。何だって最後は自分で判断を下すものさ。
ただその決断に至るまでの過程で、どれだけ自分事として考えて情報収集をしたかが大事なんですね。
例の如く、僕の住む町の生徒たちも後者のような特徴が多いです。
生徒は人生の時間の半分を学校で過ごしますが、その学校は現在においては進路に関して干渉し過ぎな面があります。
「生徒の自主性を重んじます!」と謳っている学校が多いですが、実態は担任の先生や保護者が進路選択に大いに干渉し、結局フタを開けてみると、「それ本当に自分の意思なの?」と思ってしまうような生徒たちの選択が多々あります。
この状況を早急に変えることは不可能ですが、これと同じことを塾で、引いては僕自身は絶対にしたくないと思っています。
他のスタッフがどうするかは僕にとってどうでもいいことですが、僕自身は干渉し過ぎず、生徒の自主性を少しでも高めていく方法を取っています。
塾に来ることが目的となっているので、来てくれはするのです。そのため僕がすべきことは、この目的を手段とさせることになります。
手段とさせるためには、目標・目的を別に持たせることです。
生徒自身の自主性を高める重要性に気づいたのは、昨年度の活動を個人的に振り返ってからになります。そのため、具体的なアプローチは今年から始めました。
では実際にどのようなアプローチを取っているかというと、
- 生徒と目標を一緒に探す
- 毎日生徒に「今日は何をしようか?」と問いかけ、考えさせる
- 取り組んだ結果を言語化させる
以上の3つです。
1.目標設定
先にも目標は大小様々と書きましたが、僕の町営塾では達成できる(してる)ものを目標にしている生徒が多くいます。
例えば「✕✕専門学校に行く」などですが、ハッキリ言って専門学校はお金さえ払えばほぼ100%行けます。
これは目標ではなく、決定事項、あるいは処理済事項と言えます。
大きい目標を定めるには、まずは日々の小さな目標を達成することで見えてくると僕は考えています。
「起業したいぜ!」なんて言えるのも、毎日最低2時間以上は学びたい事を学ぶ時間を作り、ちょっとキツイことに挑戦する。例えば僕であれば、筋トレや食事管理など、そういった習慣(毎日の小さな目標とも言い換えることが言えますが)を身に付けていくことで、「あ、今これができているなら、将来的に△△ができるかも」という未来図がうっすらと見えてきます。
中には、何も行動をしていない口だけ君もいますが、それはただの逃げですね。
生徒は、テストの点数や検定合格を目標とするのが一番でしょう。
これまで僕はそうしてきましたが、最近はテストではない目標設定もさせてみたいと考えています。
というのも、大学・専門学校に行く生徒だけではなく、就職する生徒もいるからです。そういった生徒にとっては、テストは最悪赤点を回避できればよく、検定も受ける必要はありません。
現状、居心地が良いから通ってくれていますが、そういった生徒たちへの目標設定はナーナーにしていたのも事実です。
なので就職する生徒であれば、例えば「毎日様々なジャンルについて質問をするので、その質問に自分なりの回答をできるようになろう」「タイピングゲームで□□点取れるようになろう」など、考えれば色々と設定できそうですね。
2.問いかけと思考プロセス
目標を決めても、毎日の取り組みに目標達成のための手段を落とし込まなければ意味がありません。
とはいえここで、僕が何をするかを決めてしまうと、これが「やらされている感」につながると共に、生徒の自主性を奪うことになります。
ですので、答えを提示するのではなく、生徒自身に答えを出させるよう問いかけなくてはなりません。
これが難しくてですね、多くの先生や保護者、あるいはビジネスにおいても上司は部下に考えさせるのではなく答えを与えてしまっているのではないでしょうか?
とはいえ正直に言うと、ここは僕が毎日ストレスを感じている部分でもあります。というのも、僕自身は「こうしたらいいのに…」と思っているのに、生徒はまったく別の効率の悪い手段を提示したり、「わかんない」で済まそうとしてしまうことが幾度となくあるからです。
しかしそこでどれだけ根気よく待つことができるかどうかが、時間はかかりますが生徒の自主性を高めるための鍵になります。
僕も最近ようやっと生徒たちに変化の兆しが見えてきたこともあり、今回この内容を書くに至りました。
昨年は塾に来ても「何したらいい?」と質問してきたり、「何でもいいから何かちょうだい」と言ったりしていた生徒たちが、今年は「今日はAとBをやろうかな」「来週に●●があるからCをやろうかな」といった具体的な手段を自分なりに見つけるようになってきています。
そこに自主性の高まりが見えて、僕はとても嬉しいですね。
3.振り返り
ここは正直僕の町営塾では、できている生徒とそうでない生徒に分かれています。ですが、2にきちんと回答してくれる生徒は振り返りを大事にしている傾向があります。
2の宣言があるからこそ、結果が明確になるんですね。2をあやふやにしている生徒は、3で振り返るモノがありませんもんね。
今年は質を高めたいという欲を抑えて、毎日キチンと記録をすることに重きを置いています。
質の高い振り返りをしたい方、させたい方は、こちらを参考にしてみてくださいね。↓
『【サッカー│コラム】スポーツ選手必見!振り返りノートの効果的な書き方』
最近のアナリティクスの数字によると、この記事がgoogle検索の上位にランクインしているみたいなのでね。
ここまですることで、少しずつ自主性というものを高めていく助けになるのではないかと考えています。
ここで強調したいのは、あくまでも助けであるという点です。
結局自主性というものは、その言葉の通り自ら動く性質のことです。そのため、コチラが自主性を高めようと躍起になっても、本人に「昨日よりも一歩前へ」「何か得たい」「何か小さなことでも成し遂げたい」という意欲が無ければ、高めることは不可能なのです。