自己肯定感という言葉に対して、みなさんはどのような印象をお持ちでしょうか?

先日、公設塾の勉強会の中で

「生徒の勉強に対するモチベーションを上げるには?」

というテーマに対して、多くの教育者が

「まずはできることに取り組んで成功体験を増やし、自己肯定感を高めてやらなければならない」

と言っていました。

「その通り!」と去年なら僕もそう考えていたのかもしれませんが、最近思うに自己肯定感以前の問題なんじゃないかと思うのです。

一言で言うなれば、自己肯定感云々の前に自己認知力を高めなきゃならんのじゃないかと思います。

自己認知力とは何かと言われると、僕が勝手につくった言葉なのでWikipediaにも載っていません。すみません。

ただ単語を分けて考えれば意味は見えてきますよね。自分を認知する力。そのまんまか。

つまり、自分とは何ぞや、自分の特徴、性質をどこまで深く理解しているかになります。

いやいや、自分のことは自分が一番理解していますよと思うでしょうが、実はそんなことないんじゃないかというのが僕の考えでして。子どもたちの多くはもちろんのこと、大人でさえ「あなたどんな人間ですか?」と言われて詳しく答えることのできる人は少ないかと思います。

大人になれば本当は知っているけれども人に知られたくない特徴なため、敢えて知らないふりをするという知恵も働くかもしれませんが、それでもそこまで考えることのできる人も少ないと思います。

端的に、仕事ができる人はやはり自分の能力を理解して「できることとできないこと」の区別が正確な故、仕事がデキる状態になることができています。

ところが世の中デキる人の方が少ないので、つまりこの「できることとできないこと」、言い換えるなら自分の能力を正確に知らない人の方が多いと言えます。

この状況を、自己認知力が低いと僕は勝手に呼んでいます。

さてここで自己肯定感の話に戻りますが、自己肯定感という単語を分解すると自己はお馴染みMyselfですね。肯定というのは、「積極的に意義を認めたり、価値があると判断すること」という意味になります。

つまり自己肯定感とは、「自分という存在をポジティブに認めたり、価値があると判断したりする」ことであると言えるでしょう。

アドラー心理学においては、自己肯定感を「私はできる」と思い込むことであるとも言っています。

ここで疑問なのが、判断する前に必ず認知(認識)が先に来るのではないかということであります。つまり、自己が何なのかを認知することで初めて肯定(認める、価値判断する)することができるのではないかということですね。

アドラー心理学においては認知という言葉を使わずに、ありのままの自分をまずは受け入れることで行動につながると述べているので、自己認知力を別の言い方にすると自己受容力かもしれませんね。

すなわち、自己肯定感の必要性を訴える人たちはまず認知の問題をクリアできているのか?というハードルを越えている必要があるのではないかというのが僕の考えになります。

その上で、「では”今の自分”ができることって何だろう?」「じゃあ実際にやってみよう」「できるね」に繋がっていくはずです。

認知に関しては、僕は2種類あると思っています。一つは自己認知、そしてもう一つは他者認知。

自己認知は自分で自分を理解することになりますが、他者認知は他者から自分がどう認知されているのかを認知されることになります。

この両方を理解してこそ、真に自分を認知している状態になります。

勉強だってスポーツだって仕事だってプライベートだって、上手くいく人間は自分を理解しているじゃないですか。デキる人で自分を正しく認知できていない人間はいないというのが僕の持論。

ではその自己認知力はどう上げるのか?というと、それが日々の自分を記録し振り返ることではないかと僕は仮定しています。つまり日記ですね。

昔は日報などを書いている会社も多いようでしたが、最近はまた少なくなってきているように感じます。僕の感覚ですが。

そ自分は今日何ができて、何ができなくてそれはなぜか。さらに自分の感情も付け加えて書ければなお良しですが、これはフィードバック者がいないとよっぽど成長したい欲がなければ続かないというデメリットがあります。

なので僕ら教育に携わる人間は、振り返りの手伝いと他者認知を与えることが子どもに対する貢献なのでしょう。

休校明けからは、一緒に「自分とは?」を考えてあげてみたいと思います。

人を変えることはできないからこそ、できることは認知させて自ら変化させることなのかなあというのが僕の直近の研究課題となっていますので、ここに書き残しておくこととします。

最近改めてやっぱり人を変えたいという想いがあるんですよね、自分には。でも変えられないことはわかっているからこそ、どうにかして人を変われる手前まで持っていくことがしたい。

出も変わるかどうかは本人次第なので、その後は運任せになりますが。

カテゴリー: PHILOROPHY真理

まつを

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