飲み会がずっと苦手でしたが、この町に来てからはそのような苦手意識も徐々に薄れてきている気がします。
思えば大学時代の後半は、社会人クラブの飲み会しか参加していませんでした。
ここでの飲み会はサッカーの話をすることはありませんが、仕事にまつわる話を聞くことができ、状況把握や答え合わせができたり、これからの計画が見えたりと、「勉強になった」と満足して帰ることができます。
頻度も少なく、自分の時間に多くを費やせる今の環境は大変有り難いです。
やり切った大きなプロジェクト
昨日の飲み会は、土曜に実施したオープンキャンパスの打ち上げとして行われました。
これまでマネージャーや上司たちが夜遅くまで、毎日仕事をしているのを僕は知っていました。
僕は勤務時間が特殊でお昼から夜までなため、公用車を返しに役場に戻るのが20~21時の間になります。
車庫から職場のデスクのが見えるのですが、今年度は電気が付いていない日は片手で数えるくらいしか無かったと記憶しています。
先生たちとも、なかなか話を擦り合わせることができずに苦労していることも知っていましたし、住民からも期待されているという大きなプレッシャーもありました。
精神的にも、肉体的にも大変だっただろうなと思います。
この二日間を無事盛況で締めることができたことで、昨日の飲み会でのマネージャーや上司たちの表情は、それはそれはスッキリと晴れやかなものでした。
ひとまず、1個大きなプロジェクトを終了することができ、とても安堵した様子でした。
僕は説明会でのサポートくらいしか役に立てませんでしたが、そのような姿を見ることができてとても嬉しかったですね。
人を変えるのって難しいな
マネージャーはたまに、僕が一人でランチを食べていると横に来て、ぽつぽつと仕事の話をします。
仕事の話ではあるのですが、たぶん内容的に細かいことは僕には話せないので、いつも抽象的な言葉で語ってきます。
僕はそれに対して返答するわけでもなく、ふんふんなるほどと聞いているだけの役割なので、マネージャーは思考を整理したいときに僕に語るんでしょう。
オープンキャンパスの前日は、「人を変えるってのは難しいよな」と言っていました。
僕は普段の生徒との関りの中で、そのことが身に染みて理解できるので深く頷いていると、オープンキャンパスへの不安が言葉に出ていました。
「大丈夫っすよ!」なんて無責任なことは言えないので大人しくしていましたが、最後に一言だけ、「このプロジェクトを通して人じゃなくてシステムを変えたいですよね」と言いました。
マネージャーは「そうだね、新しいことをするんだもんね」と言っていました。
プレイヤーではないマネージャーの難しさ
前日にちょっとナーバスになっていたマネージャーも、今回のプロジェクトの成功によって肩の荷が下りたのか、昨日の飲み会ではマネージャーとしての苦しみを熱く語っていました。
これまでは、自分で頑張ることが直接的な成果に繋がっていたのに対し、マネージャーはいかに部下の能力を発揮させるかが成果に繋がります。
もちろん自分も頑張ることが前提ではありますが、自分だけに注力しては全体の成果は出ません。
僕も昔、ドラッカーの『マネジメント』を読んだことがありますが、当時は社会人1年目ということもあって内容がさっぱり理解できませんでした。
ですが2年目のコーチの仕事をした時に、その言わんとしていたことを肌で感じることができたように思います。
マネージャーの土台となる真摯さ
マネージャーとしての必要な要素を簡単にまとめると、まず土台に真摯さがあった上で、
- 目標設定
- 組織をまとめる
- コミュニケーション力
- 的確なフィードバック
- 問題解決
の5つが重要とドラッカーは述べています。
真摯さって何やねんと思う方もいらっしゃるでしょうが、端的に言うと常に学ぶ姿勢と言い換えることができます。
それは本を開くことだけではなく、実際に自分で経験したり、人に教えてもらったりといった様々な手法で、日々学び続けることを指します。
ドラッカーはプレイヤー個人における成果の出し方を解説した『経営者の条件』という本も出していますが、この本で指摘されている成果を出すビジネスマンの条件は自分はもちろん、部下にも実践させることが理想です。
この『マネジメント』という本の内容は、『経営者の条件
』を読んで成果を上げる人間のセルフマネジメントをマネージャー自身がきちんと身に付けた上で、実践していく必要があるのです。
部下を成果の出せる人間に育てるために、マネージャーは1〜5の能力を身に付けなければなりません。
そうすることで、チームが成果を上げることができます。
サッカーコーチ(チームのマネジメント)を経験して分かったこと
コーチの時にマネージャーとしての5つの能力を身につけることができていたかと言われると、「はい!」と言い切れないのが悲しいことで。
ただ間違いなく、サッカーコーチという経験を通して「この能力がなぜマネージャーには必要なのか?」を理解することはできました。
当時このドラッカーのマネジメントを読んだことで、僕は担当カテゴリーの選手たちと交換ノートを積極的に行うことを始めました。
チームをマネジメントする立場として、
- 選手たちの目標を一緒に定めたり
- 練習や試合のパフォーマンスのフィードバックをしたり
- 一緒に課題の解決を考えたり
といったコミュニケーションを、このサッカーノートを通して行いました。
チームとしては月に1回あるかないかのところを、最低でも2週間に1回は往復のやり取りをするようにしました。
ノートはもちろんコミュニケーションツールの一つにもなっていましたし、それを始めることで選手たちの中にも「見てもらえてる、上に行くチャンスはある」という意識が芽生え熱意のある選手が増えたように、僕の目には映りました。
マネージャーとしての意識が変わるタイミング
僕のマネージャーは、自身の意識が変わるきっかけとなったのは、職場の席が全体を見渡せるひな壇に移動したタイミングだったそうです。
そこから初めて、チームのメンバーそれぞれが必死に仕事をする姿を見たことで、「もっとメンバーに任せてもいいんだ」と思えるようになったと言っていました。
自分が苦手な仕事を部下(僕の上司)に任せることで、自分は常に全体を見て構えておくようにし、大きな決断をする必要が出てきた時に、前に出てYesかNoの最終判断を下す。
そうするようになったことで、去年よりも上司が急激に成長していっていると感じるそうです。
5つの能力を身に付けるには、細かく分解していくと、「部下に責任を持たせる」だとか「失敗させる場をつくる」だとかいろいろと小さなアクションを求められます。
昨日のマネージャーの話を聞いていると、そういう小さなアクションの点をとにかくたくさん打っていたのだなと思います。
マネージャーがデスクを行ったり来たりと散歩している姿をよく見ていた僕は、失礼な話ですが「何しとんねん」と思うこともありました。
ですが昨日、マネージャーが考え続けている事柄の一端を知ることができ、表面だけで全てを理解したつもりでいた自分が恥ずかしくなりました。
プレイヤーはマネージャーや上司からのチャンスを掴むべし
マネージャーに、個人的にはプロジェクトを終えてホッとした気持ちよりも悔しい気持ちが大きいことを率直に伝えたところ、それは「自分ならこうしたい」と常に考えながら仕事をしているからこそ、自分でもやってみたいのにできないモヤモヤもあっての感情だと言っていました。
とはいえ、自分が先頭に立ってやるためには、上司たちから仕事の指揮を任されなければなりません。
今の仕事で成果を出し、より大きな信頼を獲得しなければ、任されることはないんです。
「まつは自分の強みが何だと思う?」と言われ、僕は「準備と反省は誰にも負けないと思います」と答えました。
すると、「いつでも上司の仕事を奪うという気持ちで、チャンスを逃さなようにしないとね」と言われました。
今の業務においては準備と反省ができていると自分では思っていますが、もっと大枠で捉えるとまだまだ汎用性のある能力が足りないと感じます。
ビビらず、もっと仕事の幅を広げていくチャレンジをしなければなりません。
もっと入念な準備できるのでは?もっと深い反省ができるのでは?
そこの質を上げなければ、せっかくチャンスが来ても生かすことはできませんね。