最近指導して思うこととして、短所を改善させるよりもまずは長所を伸ばすのが良いのでは?という考えが出てきました。
なぜかというと、最近自分のところに毎日練習後にその日の振り返りを聞きに来る選手がいます。
その選手は身長が180cmのFWで、でかいだけではなく足元の技術もそれなりに備わっています。ただ、フェイスダウンが頻繁に起こりプレーの幅が狭いこと、守備意識が異常に低いことの2つが大きな原因でCとBを行き来しています。
その選手の魅力は、体格を生かした強引な突破からのゴール。トラップなどの精度が低いため多少の粗さはありますが、ハマった時は見ていて面白いプレーです。
ただ、その長所にこだわり過ぎるせいでドリブルが多くなり、本来ならパスをした方がチャンスになる場面も自分で無理やりチャレンジして奪われてしまい、チームメイトから批判の嵐を浴びることがしばしば。
その選手をT君とします。
T君に毎日どのような意識を持って練習に取り組んでいるか聞いたところ、「とにかく点数をたくさん取ることにこだわっている」と言いました。
良いFWとしてゴールへの熱い気持ちは欠かせない要素なので、そこは否定せずむしろその気持ちは忘れないように、と伝えました。
まず初めに僕らが始めたことは、その突破の形の精度を上げること。トラップからドリブル、シュートまでの流れを徹底的に練習しました。
すると練習試合でその形を出せる状況になった時に、その形からゴールを決めれるようになりました。
とはいえその武器だけでは勝負できない訳で、練習でチームメイトにも試合でも同じ形ばかりを出すとパターンを読まれるようになりました。
そこで、「次はどうしたらよいか?」を2人で考えT君が出した答えは、「味方も活かせるようになりたい」というものでした。
自分が生きる形、そしてそれができない時はシンプルに味方にボールをはたくことを意識して、ゲーム形式の練習に取り組むようにしました。
すると、相手は以前よりもT君を見る時にドリブルだけでなくパスも意識しなければならなくなったので、捕まりずらくなりました。
今はそのパスの精度が低いので、まだ周りを活かしきれていないのですが少しづつ成果は出ています。
恐らくこの後に考えられる成長は、はたいたボールを再び受けて、自分の得意のドリブルに持っていけるようになること。
今は第2段階ですが、第3まできたらかなりのもの。下のカテゴリーではまず止められない選手になるはず。
長所を伸ばした結果、短所であったところを補う必要が出てきて、短所を補った結果さらにまた長所が良く活きる。
この成長過程を踏めば、どんどん選手は伸びるのではないでしょうか?
今後も引き続き、T君の成長を見守っていきたいと思います。