やりましたね!
日本代表が…ついにワールドカップのような大舞台で、強豪国を食ってやることができましたね!
日本中が湧いたのではないでしょうか…。
これまで日本は、ヨーロッパの強豪には苦渋を舐める戦いが続いてきました。
今大会もドイツ・スペインの優勝経験国が揃うグループリーグに入り、突破は厳しいと言われ続け、下馬評でもドイツ優勢。
ですが前日のサウジアラビアがアルゼンチンに大金星を上げたことで、「日本もいけるのでは?」となりました。
期待通り、日本代表の選手たちは勇敢に戦ってくれましたね!
素晴らしかった!
興奮が冷めないところですが、昨日の日本代表はどんなところが良かったのでしょうか?
小さい頃からサッカーをしてきて、サッカーコーチもちょっと経験のあるワタクシなりに、昨日の試合を解説してみようと思います。
ドイツとの初戦に勝利できた理由
ドイツとの初戦に勝利することができた理由として、僕としては2つのポイントがあったと感じています。
1つが前半を1失点という最小失点で抑えることができた点で、もう1つが後半からフォーメーションを変更して奇襲をかけた点です。
この2つを、細かく見ていきましょう。
前半を最低限の失点で抑えることができた
前半は最初の10分ほどは前からのプレスがハマりましたが、その後は防戦一方になりました。
その一番の理由としては、前線のスピード対策として、早い時間からドイツが日本の苦手な3バックでのビルドアップを選択したことでしょう。
ドイツも最初は4-5-1のフォーメーションでしたが、この形に変形してからビルドアップがしやすくなりました。恐らくこの変更は、試合前から決まっていたことだと思われます。
まずは日本の4-5-1のプレスを体感してみて、厳しいと判断したタイミングですぐさまフォーメーションを変更してきました。
GK
独 独 独
日
独 ギュンドアン
日 日 日
ミュラー 独 ラウム
日 日
独 独
日 日 日 日
GK
キーマンは3人で、
- ギュンドアン選手:最終ラインや前線からパスを受けて、空いている選手やスペースに展開する
- ミュラー選手:右サイドに流れてボールを引き出し、日本の中央の選手の目を右に惹きつける
- ラウム選手:右サイドに気を取られて手薄になった日本の左サイド裏に抜け出す
このパターンでチンチンにされました。
日本の4-5-1のフォーメーションに対して、攻撃時のドイツの3-5-2は相性が最悪なのです。
というのも、サッカーは基本的に、相手のラインに対して最低でもマイナス1で守らなければ、易々とライン間を突破されてしまいます。
今回の日本とドイツの布陣で例に挙げると、
GK
独 独 独
日
独 独
日 日 日
相手の最終ラインに対して、前田選手が一人で対応していたのが問題でした。
相手守備ラインの3枚に対してプレスが1枚だとマイナス2、パスコースを限定することができないため、ドイツの最終ラインは簡単に前にボールを運ぶことができます。
後ろの3枚の両サイドである久保選手と伊藤選手が守備ラインを1つ上げてしまうと、ドイツのボランチ2枚を鎌田選手1人で見なければならなくなり、そうなるとキミッヒ選手とギュンドアン選手のようなポジショニングに優れた選手は、簡単にパスを引き出してしまいます。
そのため、両サイドの2人は迂闊に前にプレスをかけることができずにいました。
そしてここでドイツの右CBにボールが入った時に久保選手がプレスをかけようとするのですが、ここで百戦錬磨の知将、ミュラー選手が右サイドに開いてきてボールを受けます。
この時点で、ドイツは日本の前線2列のラインを突破することに成功します。
ここからは日本は後手後手のプレスになり、長友選手が行こうにも裏にニャブリ選手に走られ、裏を警戒して吉田選手がケアに行こうとしたその隙にギュンドアン選手やムシアラ選手が中央に入ってきて、そこに遠藤選手が釣り出されて…そのケアを酒井選手がしようと中に絞ったら、左サイドの裏にラウム選手が抜け出す。
このような一連のボールと人の流れで、終始ドイツは日本の陣地でボールを回すことができたんですね。
ちなみに、日本の最終ラインでも守備のミスマッチが起きていました。
独 独
日 日 日 日
GK
プラス2で余っているということは、やはりどこかでその1~2分のマイナスが出てくるんですね。それが相手の最終ラインであり、だからこそドイツは前に簡単にボールを運べてしまいました。
また、この時点で相手の攻撃を受けるためのブロックを敷いてしまっているため、相手は前に押し込むこともできたのです。
さて、日本はこれに対してどうしたかというと…
「とにかく耐えろ!」
これでした。笑
解説の本田圭佑さんは、「相手の3バックに対抗するために3-4-3に変更するべき」とおっしゃっていました。
もちろんそうすべきではあったのですが、ここはなんとしてもこのまま変更せずに耐える必要がありました。
なぜかというと、それは後半にとっておきの奇襲を仕掛けるために、相手に「”このまま”押し通せば勝てる」と思わせるためでした。
理想は0点で抑えることでしたが、1失点はドイツの実力であれば想定内。
ただし、2失点だと絶体絶命でした。なぜなら、ドイツに勝つためには2失点をしたら3点奪わなければならなくなるのですが、それは流石のドイツの守備陣相手には至難の業。ただ、2点であればまだ可能性はあります。
サッカーは1点が入った時に選手は「イケる!」と感じて、そのままのリズムですぐに1点を奪うことができるからです。ただ、それが立て続けに3点となると話は別。
であれば、やはり0以上1以内の失点で抑えるのがベストで、森保監督はこれだけは戦術で対応するのではなく、選手たちの気合に任せたと思います。
”ハーフタイムで”フォーメーションを変えたことで、ドイツに対策を練らせなかった
なんとか1失点という勝利への最低条件でハーフタイムを迎えることができた日本は、ここで大きく動きます。
そう、前線の守備ラインの修正です。加えて、この試合のキーマンであるミュラー選手を効果的に抑えるために、”誰がミュラー選手につくか”を明確にします。
GK
独 独 独
日 日 日
独 独
日 遠藤
独 独 独
長友 酒井
独 独
日 日 日
GK
久保選手と冨安選手を変えたことで、3バックに変更して後ろの1枚を減らした分、長友選手と酒井選手のラインを1つ上げることに成功します。そうなると遠藤選手と田中選手もラインを上げることができ、前からプレスをかける陣形が整いました。
そして鎌田選手を左に出して伊藤選手のラインも1枚上げて、相手の最終ラインに対してマンツーマンでいきました。
この大幅な変更にドイツは大慌てになり、一気にボールを前に運ぶことができなくなりました。
恐らく、ハーフタイムでドイツが監督から受けていた指示は
「前半のスタイルで後半に追加点を取れたら勝てる。このまま押し切れ」
だったと思われます。
それが蓋を開けてみたら、日本が予想外の3-4-3へのシステム変更で対応されてしまったため、ここからどうボールを運ぶかプランBをハーフタイムに授けていなかったのが仇となりました。
とはいえ、日本も前線からの全てのプレスがハマるわけではないので、後半の初めに何度かゴール前まで侵入されてしまいましたが、
ドイツを自陣まで押し返すことができた
これが何よりも、フォーメーション変更の大きな成果でした。
というのも、自陣にまで押し込まれてしまったら、ドイツは日本のゴール前までまた攻めるためには、長い距離を走らなければならなくなります。
それってつまり、体力が削られることを意味します。
これが、後半の途中からガクンとドイツ代表の足が止まった原因になります。
”勝ち切ること”を目指して攻撃的な交代カードを切った
後半の立ち上がりを見て、ドイツがプランBを持っていない、前半のままの戦いで行くと踏んだ森保監督は、ここで超攻撃的な選手交代で試合をひっくり返しに行きます。
日本代表は、最終的に守備的な選手を、以下のような攻撃的選手に変えて攻勢を仕掛けました。
- LWB:長友選手→三笘選手
- RWB:酒井選手→伊藤選手
- CMF:田中選手→鎌田選手
- LWG:鎌田選手→南野選手
ラインが上がったことで、長友選手がミュラー選手を捕まえることができたおかげでドイツが右からの展開に苦しみ出します。ギュンドアン選手とミュラー選手は30歳を超えたこともあって、スタミナに陰りが見えるので後半から運動量が落ち始めました。そこでドイツは、2人を思い切ってベンチに下げます。
ドイツは、この試合で前線にボールを運ぶためのキーマンであった2人を変えてしまったのです。
ここで日本は長友選手にお役御免、そしてより攻撃力のある三笘選手を投入します。ミュラー選手が交代したことで、日本の左サイドはドイツの攻撃の起点ではなくなり、守備の負担が減ったのです。
だからこそ、三笘選手をウィングバックで起用することができたのです。相手の右サイドが手薄になるので、三笘選手を通常よりも下のポジションで出しても、高い位置でプレーさせることができるという森保監督の判断でした。
案の定、同点のシーンは三笘選手が相手ペナルティエリア付近でボールを持つことができたおかげで、得点までの流れが生まれましたよね。
ただ、三笘選手に高い位置でボールを持たせるためには、右サイドからのサイドチェンジに優れた選手を投入する必要があります。
誰がそれをできるのかというと、そう。堂安選手です。
堂安選手は左利きで右サイドから中に入ってくるプレーを得意とするため、常に左サイドにボールを展開することができます。キック力もありますしね。
日本の右サイドでドイツを引きつけて、手薄になった三笘選手に展開することができるようになりました。
そしてFWは、前田選手に変えて浅野選手を投入し、ボランチもできて守備で相手を刈り取ることのできる鎌田選手のポジションを下げて南野選手を投入し、後半の最後まで前線から速いスピードで相手を追い回し、相手の裏に抜けて最終ラインを下げさせる選手を並べました。
結果的に、集中力が切れてきた後半に、南野選手と浅野選手が立て続けに相手の最終ラインの裏に流れたことで、日本代表の逆転劇を演出する結果となりました。
最終的には、日本代表の歴史上初めて見る5トップが完成しました。
GK
独 独 独
南野 浅野 堂安
独 独
三笘 伊藤
独 独 独
鎌田 遠藤
独 独
日 日 日
GK
FWを前に5人配置するというトンデモ選手交代でしたが、前半を耐え凌ぎ、後半のオープンな展開になればドイツとも互角に渡り合えるアタッカーを日本にはたくさんいることも、この攻撃的交代ができた理由の一つでした。
日本も選手層は十分厚いんだ!
この初戦の勝利が第二戦にもたらす価値
交代メンバーに自信を植え付けることができ、総力戦だと思わせることができた
この勝利を通して、日本代表の選手たちが常々言っていた「ドイツ相手でも十分やれる」ことを証明できましたし、何よりもスタメン選手が前半を耐え抜き、後半の交代メンバーで試合を決めるという
全員で勝利した
ことが大きな収穫であります。
交代で入った選手たちは、「オレらもやれるぞ!」と力を出させつつ、ドイツ相手に仕事をしたという自信を植え付けることができました。
スターティングメンバーにとっても良い刺激になった
スタメン組にとっても、前半は相手にいいようにやられてしまい良いところが見せれず、それに加えて交代メンバーが仕事をしたことに対して、嬉しさ反面、「くそ…オレらも」という思いが強いはずです。
久保選手や前田選手、鎌田選手なんかは、前半全く良い形の攻撃をすることができなかったので、フラストレーションもかなり溜まったことでしょう。
第二戦、第三戦で爆発させてくれることを期待したいですね。
ワールドカップやオリンピックのような短期決戦の時は、スーパーな選手が1人で勝たせるか、毎試合変わる変わるヒーローが出てくるかのどちらかが勝ち上がるための鍵になります。
もちろん、日本にはスーパーな選手はいません。
鎌田選手も上手いですが、1人で試合を決める選手ではありません。
毎回ヒーローが変わるためには、「次こそはオレが!」という選手がたくさんいなければなりません。
そういう意味では、今回の大会は初出場でギラギラしている選手も多く、その可能性を大いに秘めています。
ちなみに僕は、次のコスタリカ戦で柴崎選手と相馬選手に期待しています。
コスタリカ戦は勝利が求められる
次は日曜のコスタリカ戦。
コスタリカもリーグ突破のためには負けられない戦いなので前から来ますし、日本もグループリーグ突破を決めるためには勝利が最低条件です。
ただ、僕が思うに絶対にこの試合森保監督はターンオーバーをしてくるはずです。
森保監督が常々、グループリーグ突破ではなく「ベスト8が目標」と言ってきた裏には、
- グループリーグを首位で通過することができれば
- ベスト16でF組の2位と当たるので勝利の可能性が上がる
この方程式で、ベスト8が目標と言っているはずなのです。
であれば、スペイン代表に勝利して1位通過を決めに行くと思います。
そのためには、スペイン相手にベストコンディションのベストメンバーで戦わなければなりません。
コスタリカ戦でドイツ戦で出したメンバーをスタメンから使ってしまうと、2試合連続の疲労が溜まった状態でスペイン戦に挑むことになります。
スペインに勝ったとしても、ベスト16の試合の時は満身創痍の状態になってしまうでしょう。
となると、やはりターンオーバーをすることは想像に難くありません。
それに、これまでの代表ウィークで選手の総入れ替えをしてきたのも、このためだといえます。
コスタリカ戦の予想スタメンは
上田
相馬 鎌田 堂安
柴崎 田中
伊藤 板倉 谷口 山根
シュミット
サブ組でも絶対にやれる!
なぜなら、このターンオーバーのために何度も準備してきたから。
改めて見せてくれ、日本代表の選手層の厚さを!
日本代表の欧州メンバーの活躍をチェック!
気づけば、日本代表メンバーの半数以上が欧州組になりましたね。
日本代表選手たちの普段の試合は地上波テレビでは追いかけることができないので、別の視聴媒体で追いかける必要があります。
せっかくなので、僕がいつも確認しているYouTubeチャンネルを一覧で載せておきますね。
リーグ(国) | 視聴媒体 |
日本代表 | JFATV |
CL/EL | WOWOW |
リーガ・エスパニョーラ(スペイン) | DAZN Japan |
プレミアリーグ(イングランド) | SPOTVNOW |
ブンデスリーガ(ドイル) | スカパー! |
セリエA(イタリア) | DAZN Japan |
リーグ・アン(フランス) | DAZN Japan |
プリメイラ・リーガ(ポルトガル) | DAZN Japan |
ベルギー・プロ・リーグ | DAZN Japan |
スコティッシュ・プレミアシップ(スコットランド) | SPOTVNOW |
Jリーグ(日本) | Jリーグ公式チャンネル |
ぜひ参考にしてもらえればと思います!毎週末チェック!
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